ランキング上位企業


【1位】NTT(日本電信電話)

バブル経済の象徴「お化け株」

1989年末時点で約24兆5000億円という、天文学的な時価総額を叩き出したバブルの帝王である。 当時の世界時価総額ランキングでも2位以下を大きく引き離す断トツの1位であり、IBMやAT&Tといった米国の巨大企業さえも足元に及ばない、まさに「世界最強のガリバー企業」として君臨していた。

世界最大の時価総額

その規模は当時の日本の国家予算の約3分の1に匹敵するほど巨大なものであった。 「日本列島が値上がりすれば、日本最大の地主であるNTTも値上がりする」という土地本位制のような理屈(含み益評価)がまかり通っていた時代であり、NTT株の上昇こそがバブル景気そのものであったと言える。

日本中が熱狂した「NTTフィーバー」

1985年に日本電信電話公社(電電公社)が民営化され、1987年2月に株式が上場されたことが全ての始まりだった。 政府が保有株を放出する形で行われたこの上場は、国民的なイベントとなり、これまで株式投資に縁のなかった主婦やサラリーマンまでもがこぞって抽選に参加する社会現象となった。

伝説の株価推移

第1次売り出し価格は1株119万7000円。これに対し買い注文が殺到し、上場初日は値がつかず、翌日についた初値は160万円であった。 さらにそこから株価は垂直上げを続け、上場からわずか2ヶ月後の1987年4月には、上場来高値となる318万円を記録。 「NTT株を持っていれば誰でも儲かる」という神話が生まれ、財テクブームに火をつけた。

資産バブルと「含み益」経営

当時の投資家たちがNTTに熱狂した背景には、通信事業の独占性だけでなく、同社が保有する膨大な「土地資産」への注目があった。 全国津々浦々に電話局や社宅を持つNTTは、地価高騰が続く日本において、莫大な不動産含み益を持つ企業として評価されたのである。

PERの無視

当時の株価収益率(PER)は常識外れの200倍〜300倍超に達しており、企業の実力(収益)で正当化できる水準ではなかった。 しかし、「日本株は上がり続ける」というバブル特有の楽観論と、需給相場がこの異常値を正当化し続けた。

政府売り出しとバブルの崩壊

1989年末の時価総額ランキングでは1位を死守したものの、実はNTTの株価自体は1987年の高値(318万円)をピークに、その後は下落トレンドに入っていた。 政府による第2次、第3次の株式売り出しが行われるたびに市場での需給が悪化し、価格が低迷していったのである。

NTTショック

特に第2次放出で購入した多くの投資家が含み損を抱えることとなり、これは「NTTショック」と呼ばれた。 1989年の大納会の後、バブル崩壊とともに株価はさらに暴落。一時は高値の10分の1近くまで売り込まれることとなり、夢の跡として投資家たちの記憶に深く刻まれることとなった。