企業と共同研究へ 三重大学工学部

(2004年5月24日、中日新聞 朝刊 三重版)

環境エネルギーなど

四日市フロント交流会

【三重県】三重大学工学部(津市)が2004年05月24日、四日市市の企業と、新技術の実用化や共同研究に向けた勉強会「四日市フロント交流会(仮称)」を設立する。4月の大学法人化で独自財源の確保が必要な三重大学と、新しい技術や発想で産業の活性化を図りたい企業との“お見合い”の場となる。

材料化学やナノテクノロジー

勉強会では、材料化学やナノテクノロジー、情報通信、環境エネルギーなど幾つかのテーマ別分科会をつくり、工学部の教官が研究内容を企業側に紹介。興味のある企業が個別にその教官らと、共同研究や技術移転などについて相談する。

二酸化炭素を燃料として使う技術

助手以上の教官

工学部では3月、勉強会発足に向けて所属する助手以上の教官約130人に技術移転が可能な研究を募集。

使用後にすぐに分別ができる技術

二酸化炭素を燃料として使う技術や、使用後にすぐに分別ができるような環境型設計の技術など約60の研究テーマが寄せられた。いずれも特許を取得していたり申請中のものなど、早期に実用化できるものが多いという。

四日市コンビナート

発足式は24日午後5時から、四日市市安島のじばさん三重で開かれる。三重大学から工学部の各学科長や産学官連携の担当者、企業側からは四日市コンビナートの大企業のほか地元の中小企業も含めて10数社の研究担当者が出席する。毎月1回程度、開くという。

将来性のある技術や研究

加藤征三・工学部長は「将来性のある技術や研究が集まった。これらの研究が世の中で花開き、大学の外部資金の獲得にもつながれば」と期待を寄せている。

伊賀市の上野市駅前に忍者研究の拠点

(2012年6月30日、毎日新聞 三重県版)

ハイトピア伊賀

サテライトオフィス

三重大学は2012年06月29日、三重県伊賀市の上野市駅前再開発ビル「ハイトピア伊賀」内にサテライトオフィス「伊賀連携フィールド」を開設した。伊賀市、上野商工会議所と連携し「忍者」と「まちづくり」を軸にした研究や教育活動を進める。市民講座も開き「知の拠点」として大学のない伊賀地域の発展を目指すという。三重大学の産学官連携拠点のサテライトオフィスは、四日市フロント(四日市市)と伊賀研究拠点(伊賀市ゆめが丘1)に次いで3カ所目。

東京・秋葉原や京都だけではない

上野商工会議所

上野商工会議所(商議所)の3階フロアにある「地域活性化センター」(約40平方メートル)に開設した。人文学部が中心となり、伊賀に密着した研究や現地授業、まちづくりの提案などを行う。記者会見で樹神(こだま)成・人文学部長は「日本は東京・秋葉原や京都だけではない。留学生にも来てもらい、伊賀を世界に発信できたら」と話した。誘致にあたった商議所の田山雅敏副会頭は「商議所内に大学機能があるのは、おそらく日本初で画期的なこと。産学連携で伊賀市の活性化を図りたい」と期待を込めた。

市民講座

文献・アニメ・映画

2012年度は「忍者文化」に着目した学術研究を進める。国内外の忍者に関する文献・アニメ・映画などをデータベース化するほか、伊賀流忍者博物館所蔵の古文書整理、市民向けの連続講座(無料)を開催する。

伊賀流忍者博物館
研究者や学生が合宿

まちづくりの研究でも地域活性化に貢献したいとしている。「伊賀は歴史や文化、産業が多様で、学生教育にも魅力的」と担当の後藤基(もとい)教授。8月~9月に研究者や学生が合宿し、秋にも具体的に提案する考えだ。

講演会とシンポジウム

忍者文化

オープニング記念として、10月5日に講演会とシンポジウムを開催する計画。前観光庁国際交流推進課外客誘致室長の勝又正秀・高松市副市長を講師に招き、忍者を生かした観光・まちづくりについて意見を交わす。

伊賀研究拠点は理系分野に特化。伊賀連携フィールドは、一般市民の参加を見込んで中心市街地に設置した。

四日市商議所、三重大が環境経営セミナー

(2008年10月24日、毎日新聞 三重県版)

環境を商機へ

桑名、鈴鹿、亀山

四日市商工会議所と三重大学は、環境に配慮した経営の促進のため経営セミナー「今、環境をショウキ(商機・勝機)へ!」を2008年11月から2009年1月まで4回、四日市市の四日市商工会議所で開く。問い合わせは三重大学四日市フロント。

市場創出につながる

環境を生かす経営は他社との差別化や商品開発に伴う市場創出につながるという考えに立って企画した。桑名、鈴鹿、亀山の各商工会議所にも協力を求めた。

環境商品の開発
斎藤彰一会頭

セミナーは、経営者対象が第1回の11月5日のみで、環境経営のメリットや戦略、成功事例などを学ぶ。さらに実務に関し、担当者対象を11月~1月に各月1回開く。斎藤彰一会頭は「経営の環境配慮だけでなく環境商品の開発も将来の視野に入れたい」と話す。

参加料

参加料は、経営者対象回が無料で、担当者対象は3回分5000円。申し込み締め切りは10月24日。

産学連携 三重大学(津市)

(2006年5月15日、中日新聞 三重総合版)

独立法人化

先端技術や知識を活用

【三重県】三重大学(津市)と地域産業との連携が活発化している。2004年の独立法人化で、縁遠かった両者の風通しはぐっと良くなった。企業は大学の持つ先端技術や知識を活用。大学側は学内の知的資産を地域に還元し、存在意義を示したい考えだ。

三重北勢地域地場産業振興センター

四日市市にある三重大学の地域拠点施設「四日市フロント」(三重県四日市市安島1丁目3番18号 (財)三重北勢地域地場産業振興センター内4階)。2006年度、企業との橋渡し役を務める産学連携コーディネーターを3人から5人に増やし、事務職員1人も駐在させて倍増の人員体制を整える計画だ。

コーディネーター

三重県内の製造品出荷額の6割以上を占める北勢地域との連携拠点として、法人化直前の2003年10月に設置された。発足当初から産学連携コーディネーターを務める相可友規さんは「高度な技術と経営の両面で支援するには、コーディネーター一人では難しい。チームを組む必要がある」と増員の理由を説明する。

三重銀行OB

地域経済に精通

相可さんは、取締役本店営業部長などを歴任した三重銀行OBで、地域経済に精通。あと2人のコーディネーターは大手自動車メーカーと化学製品メーカー出身で、それぞれ機械工学系と化学系を担当している。2006年夏ごろまでに、食品系とマーケットに強い人材を採用する予定だ。

企業ニーズのマッチング
企業訪問

「1つ1つ、手作りで実績を残していくしかない」と話す相可さんは、大手から中小企業まで北勢地域に事業所を置く企業訪問を重ね、大学の持つ研究成果と企業ニーズのマッチングを探っている。

研削機メーカー「小林機械製作所」
共同研究

「相可さんとは三重銀行時代からの顔なじみ。四日市フロントができて大学が身近になった」。三重大学と共同研究の実績がある研削機メーカー「小林機械製作所」(四日市市)の森十九男社長はこう語る。

技術者育成講座

現在、三重大学研究者らが講師を務める財団法人三重北勢地域地場産業振興センター主催の技術者育成講座などに社員を参加させ、第一線の知識習得に期待を寄せる。「中小企業は好景気のときは本業が忙しく、不景気のときは資金の余裕がないので、開発や人材育成に力を入れにくい。そこを大学に支援いただきたい」と連携の意義を語る。

工学部の社会連携推進室

平松和政教授

大学側にも相乗効果が現れてきた。外部資金の獲得手段でもある共同研究や受託研究、特許出願の件数は着実に伸び、研究者の意識も変わった。工学部は2005年6月、社会連携推進室を設置し、コンビナート系、防災系など専攻するテーマごとに研究者がグループを組んで企業からの相談に対応できる態勢を組んだ。室長の平松和政教授は「企業を本当に元気づけられる、世界に通用する力強いシーズ(種)を生み出す研究をしなければならないと感じるようになった」と、その効果を話している。